Little AngelPretty devil 〜ルイヒル年の差パラレル

    “このくらいは ささやかな” 〜たとえばこんな明日はいかが?
 



いつもなら、
瞼が上がるのさえ もどかしいように見えるほど、
パチリと目覚めたそのまんま、
それは颯爽と身を起こし、さっさとベッドから降り立って身支度して。

「………。」

ああ、今日は朝練ないんだ、
その代わりに昼休み潰してL高まで偵察に行くんだったよな、
じゃあさほどしっかり飯食ってくこともねぇかな、
途中でコンビニ寄って、中休みと向こうで食う物買って行こう…という具合に
体も動けば頭も働く。
それが今朝は、

“だるい〜〜〜。”

すんなり起き上がれないだなんて、誰より自分で信じられない。
結構たくさん寝たはずなのに、事実、もうこんな明るいのに。
疲れが全然取れてないって感じで、積極的には起き上がりたくなく。
こんな目覚め方は滅多にないことだったから、
何が何やら判らないことだらけになってた頭のブランクへ、
そこいらから答えを拾い上げてくところから始めなければならなくて。

まずは、此処はどこなんだ。

俺んチでもないし、ルイんチでもないし。
どっかのホテルかな。
それにしちゃあ、豪華なんだか質素なんだか、調度品が中途半端じゃね?
家具は極力少ないし、
サイドボードの上とかに、出しっ放しになってるもんもなくって。
でも、観葉植物とか壁に絵画とか、そういう飾りっ気もない。

………あ、そだそだ。

今週の頭から独立しやがったんだ、ルイの奴。
そうか、此処がそうなんだ。
遅くに来たし、天井の明かりはとうとう点けなかったからな。
家具やら間取りやら、こんなだって判らねくともしょうがねぇ。
わ、天窓なんかついてやんの、おっ洒落ー。

 …じゃなくて。

こんなカッコで来ることになるとはな。
まあ、今週は俺もずっとガッコやら練習やらがあって、時間が割けなかったし。
それにルイもルイで、
“ただの引っ越しだ、大したこっちゃない”ってな言い方してたしよ。

………でもなんか、ムッとしたけどな。

節目には違いないじゃんか。
なのに、俺が立ち会わなくとも良いんだと。
ツンさんとか銀とか、一美とか、もう上げたんだろか。
メグさん辺りは引っ越しの手伝いしたかもだから仕方ねえけどよ。
俺よか先に、此処に来た奴って、いるのかな。
遅くなったから泊まれとか、
ここに寝かした奴とかいるんかな。

………あ、そだそだ、居ねぇって。

ルイ本人からして、
荷物は入れたがまだ寝泊まりまではしてねぇって言ってたじゃんか。
何かバタバタ、斗影兄ィとの仕事に追われてて、落ち着く暇なんてなくてって。
それが昨日、やっと鳧がついたからって、打ち上げみたいな飲み会になって。
ツンさんトコの炉端焼き屋でワイワイやってから此処に来て………。

そいで………えと。


 「〜〜〜〜〜。////////


身体が出来上がるまではって、
高校に上がるまでキス以上は絶対手ぇ出さなかったルイ。
高校生になってからも、何だかんだと間が悪いの続きで、
まだ数えるほどしか…してもらってはなかったのに。

それが昨夜は、サ。

此処に着くなり、ひょいって抱えられて、
この寝室までを運ばれて。
何すんだって言いかけた口を、
いきなし塞いで…食われるかって思ったほどのキスされて。

それから。

シャツを剥かれの、ズボンをはだけられの、
何でこんな手際がいいんだろかって焦ったくらい、
長いリーチを活かしまくって、人んコト、魚みたいに捌きやがってよ。
暴れかけたら、眉下げて情けない顔ンなって、

 『…イヤか?』

わざわざ訊きやがって。
いくらでも力づく出来んのに、わざわざ。
第一、イヤだったら何とでも逃げられるっつの。
携帯にオプションしといた、スタンガンとか催涙スプレーとか、
何となりゃ、これでもアメフト続けてんだ、
自慢の蹴りでだって撃退出来るっての。

 『………。』

顔の横に突いたままの、こんながっつりした手や丸太みたいな腕してて。
そっと添わせた手が平らなまんま置ける、こんな頼もしい肩してて。
ボタン外しすぎの襟元から覗く、ごっつい首とか胸板、
何でそんな色っぽいんだよ、男臭いのに。
少し開いた口許も、前髪かぶさりかけてる伏し目がちの目許も、
そんな翳って色っぽいの、ナシだっての。


 『イヤだなんて…言ってねぇだろ?』


こそって言ったら…今度はそぉっとキスされて。
精悍な匂いと温みとに、長い腕でくるり封じ込められて。


優しくじんわり粘り強く。
負担かけないようにって、痛くないようにって。
いっぱいいっぱい時間かけて、身体じゅう撫でられて。


あれこれ好き放題もされて。


信じられんねぇ声とか出てたよな。
このままどうにかなっちゃうんじゃないかって怖くなったくらい、
どこまでもどこまでも追い上げられて…サ。/////////





  「〜〜〜〜〜。//////////


だ―ーっ、もうっっっ!!!
腹が立つっ!
ルイの奴、さては酔っ払ってやがったな。
やりたい放題した揚げ句、
朝んなって我に返って、
恐れをなして起こしもしねぇで逃げやがってよ。
全っ然 起き上がれねぇじゃんか、こらっ!
サンドイッチなんざ置いてたって、誤魔化されねぇんだからなっ。

………腕、上げやがってよ。

俺んコト怒らすたんびに作ってりゃあ、上手くもなるだろよっ。
ったくよっ!/////////


ま、それなりの仕置きはしといたからな。
今頃…今日は斗影兄ィの手伝いで懇親会の世話とか言ってたから、
ホテルで着替えてるとこかな。
銀も他にもついてってるだろから、せいぜい冷やかされて来いっつの。


 (あ〜っくそっ、腰 痛てぇ〜〜〜。)





 ◇  ◇  ◇



「…ルイさん、その背中。」

  「? 背中?」

「見えてねぇな。」
「つか、見た目ほど痛くないんなら、人に指摘させよっていう確信犯だな。」
「…どうせ、あいつっしょ?」

  「? あいつって…………… 何だ、こりゃ〜〜〜っ!!」

「ただのミミズ腫れです。カサブタつきの。」
「ルイさんて灼けてないトコはとことん白いから。」
「知らない人が見たら引きます、とっととシャツ着て下さい。」
「一体どこの修羅場を突破して来たんすか?」
「妖一ってそういう趣味あるんすか?」
「特殊なsexは軽いうちに手ぇ引かないと戻れなくなるって言いますよ?」

  「………お前ら、判ってて言ってないか?」

「何を判れって言うんです?」
「妖一が わざとに爪立てたらしいってこととかですか?」
「そんな、他人様の閨房事情に詳しくなってもなぁvv
「ねぇvv


  「〜〜〜〜〜〜〜〜。//////////


   お後がよろしいようで♪





  〜 どさくさ・どっとはらい 〜  07.4.14.


  *何カ月振りでしょうかの“十年後”です。
   (ヨウちゃんが成長したから減るのかな、この副題。七年後とか。)
   妖一くん、高校2年くらい、ルイさん25、6くらいでしょか。
   大学出て、お兄さんのカバン持ちしながら、
   何かしらでの独立を考えてるトコです。
   なんですか急に、
   とってもセクシャルなルイさんに組み敷かれてる
   高校生蛭魔くんの図が降りて来まして。
   ………いくら春でも萌えが過ぎます。
   頭冷やして来いっ、ですね。
(苦笑)


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